日時:春休み中の3月31日(木)3~5時
場所:「としまえん」内の休業中レストラン「華蘭」(西武グループのご協力を頂きました)(券を提供して頂き、子ども達は2~3時迄乗り物で遊びました)
メニュー:豚肉生姜焼き丼・豚汁・サラダ・飲み物
(2名のコックさんが指導)参加者:孤食・養護施設の子ども達を中心に20名余(予約制)
会員:14名出席
その他:子ども達に東京キワニスクラブ特製のエプロンを提供しました
(事業企画委員会)
今年の桜はかなり長持ちした。お蔭でいつになく多くの場所で、異なった趣の桜を楽しむことができた。その中でもっとも印象に残ったのは「豊島園」のそれである。
そもそも豊島園に行ったのが記憶にないほど大昔のことゆえ、電車に乗ったときから遠足気分でウキウキしていた。昼過ぎに着いたのだが、ほぼ満開の桜の下、ゲート周辺は子ども達で溢れていた。
今日はわが東京キワニスクラブ初の「子ども料理教室」の日。僕たちは既に「子ども食堂」を2回開いてそれなりの経験を積んでいたので、「キッチン」も大差ないだろうと余裕しゃくしゃく。だが、定刻になってもシェフはじめわれわれ大人たちは勢揃いしているのに、肝心の子供たちの出足は鈍い。
あとでわかったのだが、人気の乗り物はどれも長い時間待ちで、チケットを渡すのは食後にすべきだったと反省。
それでも20人あまりの子ども達が集まって、まずは今日の先生役を買って出てくれた園内中華レストランのシェフが簡単メニューを鮮やかに実演。そのあと5テーブルに分かれ、各班ひとりの子供が実際にクッキングに挑戦。
家人の冷たい視線を気にしながらも、頑なに「男子厨房に入らず」の訓を死守している身としては、自分で作らなくてすみともかく一安心。ただ、エプロン掛けは少々気恥しく、それを紛らわすために普段より(?)いささか饒舌であった(気がする)。
この日のひとつのサプライズは、以前の「子ども食堂」で僕が手品を教えたらしい子どもが同じテーブルになり「あっ!あの時のおじさんだ!」と言ってくれたこと。この子は高校一年生になっていて、中学二年生の弟を連れてきていた。この弟の豚を炒める手つきが見事で、聞けば家では毎日料理番を務めているとのこと。さらに、その姉は料理前の手の洗い方が素晴らしく、たずねてみたら池袋の回転寿司店でのアルバイト歴が2年、プロ並みの手洗いもなるほどと思わず納得。この姉弟の息の合ったクッキングの恩恵に浴し、僕たちはご飯と飲み物などの「お運びさん」で済み、実に嬉しい午餐会であった。
この子達の家庭にも複雑な事情があって、いわゆる「家庭の団欒」の機会が乏しい筈なのに、なんと明るくたくましく育っているのだろう。
よく考えてみると、本当に「団欒」がなく、話し合う友達もいず、暗い子なら「子ども食堂」や「子ども料理教室」には来ない、いや来られないのではないか。しかし、心の底から笑って、食べたりしゃべったりすることが少ない子ども達はやっぱり増えているように思う。実際、一生懸命にしかも彼らとおなじ目線ではなしかけているうちに、はじめは警戒的でいささか身構えていてもだんだん打ち解けてくるものだ。
日本の子ども達は、“not hungry, but alone”と言われるが、「よそでは賑やか、家では孤独」という大人も多いのではないだろうか。そうであるなら、僕たちの果たす役割は大きい筈だ。“ドローン”ではなく“アローン”の監視というべきか。
人気の朝ドラ“とと姉ちゃん”で、どんなことがあっても一日一度は家族揃って食卓を共にするのを守っている話があるが、いまの時代は両親揃った家庭でも無理である。かくして、「団欒」なる言葉も死語にちかいのでは。
いつものことながら、かりそめの“善行”とは知りつつも「子供クッキング“の打ち上げ会は大いに盛り上がり、昼間飲めなかった分をカバーして余りある痛飲会であった。
「家では孤独、外では団欒」とつぶやきつつ、月に映える夜桜を見ながら家路についた。
(佐々木信行監事)