キワニスクラブは、奉仕活動を行う民間の団体です。

第41回(平成19年度)社会公益賞:贈呈式

日 時:2007年7月20日(金)12:10~12:30
場 所:経団連会館9階 クリスタル・ルーム

―第41回キワニス社会公益賞贈呈式―
受賞団体:NPO法人女性のスペース「結」
代表 中村敏子氏、副代表 小金澤孝子氏

授賞式

授賞式

○小山田社会公益委員長より選考経過報告

今年度は皆様から推薦をいただきました幾つかのグループ、以前ご推薦いただきました中からも掘り起こして検討を重ねて参りました。今回表彰されますNPOの「結」は2年前に最終選考に残られたグループです。何回かお話を伺いながら選考を進めて、キワニスの現状の活動目的と照らし合わせて、「結」が今年の社会公益賞に相応しいと委員会で決め、6月の役員会でご承認いただきました。

NPO「結」は団体としてのスタートは2001年と日は浅いが、前身の活動を含めると約20年、地道な活動を続けておられます。「DVと児童虐待のない中野を皆の手で」をスローガンに中野区を中心に活動しておられます。主な活動はDVの被害者の電話相談です。約10名が仕事を持ちながら週2回電話相談を受け、被害者の支援に当たっています。DVは児童虐待防止法の中で心理的な虐待に位置づけられています。初めはDVの被害者の支援に当たっていましたが、DVは児童虐待の問題と切っても切りはなせないと、最近は児童虐待の問題にも力を入れて活動しておられます。DVを受けた家庭の子どもの8割が、成長して同じようにDVを繰り返すという状況になっています。

根本的にそういうことを起こさせない環境をつくって行こうと地道な活動をしています。電話相談の他に講演会、ビデオ上映、研修会、JR中野駅のガード下で年3回パネルを展示して中野区民に呼びかけたりしています。その中でのご苦労は現実を正しく受け止めてもらえるのだろうか、自分達が伝えているメッセージが正しく理解してもらえているのだろうかと腐心しておられます。手づくりのパンフレットの配布もされています。シェルターも運営されています。経済的な負担も大変で、約10人の活動に80人ほどのサポーターがいますが、運営費に苦労されているようです。
キワニスのモットー「世界の子どもに奉仕する」と、3年ほど前から児童虐待防止に取り組んでいることを総合的に勘案して、「結」の地道に活動に報いたいということで今回の受賞となりました。

○受賞のことば
・代表 中村敏子氏

このたびはこのような名誉ある賞をいただきまして、本当にありがとうございます。経団連会館に初めて足を踏み入れました。日頃私達がしていることからとてもかけ離れたところにいらっしゃる方達のところで、名誉ある賞をいただけるなんて夢にも思っていませんでした。6月に賞をいただけるとの連絡を受け、スタッフ一同とても喜び、励みとなりました。今までに表彰されたことは小学校で健康優良児賞以来のことで、しかも、私だけでなく、スタッフ全員でもらえたことがとても嬉しく思います。
「結」の活動については、今、小山田さんからお話いただきましたので、おわかりいただけたかと思いますが、簡単にご報告させていただきます。

女性のスペース「結」という名前になってから今年で6年目です。その前にフェミニストセラピー「結」 という名前で約20年活動しています。「DVのない中野を皆の手で」というスローガンを掲げたときに、男性の年配の方々からDVって何と言われ、ドメスティックバイオレンスだと説明し、話して行くうちにDVDになったりしたこともありました。2001年にDV防止法が出来、警察もDVに関して責任を持ってフォローするという法律でき、急速にDVという言葉が一般化されました。女性への暴力がなくなれば、子どもへの虐待はなくなるし、子どもへの虐待がなくなれば、女性への暴力はなくなるという裏表の関係ではないかと、実際に相談を受けたり、講演した中で実感しています。主に中野の地域の中で、週2回電話相談を受けています。電話相談も地域の中で始まりましたが、フィリップ・モリス社が助成金を出したフリーダイヤル、全国共通ホットラインに加入したことにより、全国から電話を受けるようになりました。昨年は約160件、今年は今の時点で既にその数字に越えるくらいになり、増えて来ています。「結」の特徴でもあり、中野駅のガード下で定期的にパネルの展示をしています。昨年、東京都のウイメンズプラザから助成金をいただいたので、今年の展示は子どもに対する虐待のパネルを追加しました。

私達と一緒に活動している朗読劇の「言の葉」が8月3日のキワニスの会で、朗読劇をさせていただきます。「言の葉」と一緒に活動をしていることは意味があると感じています。講演だけだと皆様にわかっていただけない部分があり、それは特別なこと、特殊なことで、一般的なことではないと思われるところがありました。朗読劇を通して皆様の中にすんなり入り、身近な問題として考えてもらえるようになって来たように感じています。今年はこの賞をきっかけに助成金がいただけるようになり、講演会や会員の方々の感謝ためのコンサートを11月に企画したり、行事が目白押しです。ほとんどのスタッフは仕事をしながら、活動をしています。両立は難しく、ジレンマになっています。もう一歩進もうというときに、時間的に無理だったりして、進めないこともあります。仕事もし、ボランティアもするというのが私の信条です。女性の場合、ボランティア活動だけになることもありますが、両方ともバランスをとりながら活動して行くことが、人間として生きて行くことだと思います。アメリカなど活動を見ていると仕事を持ちながら様々なボランティア活動をしています。そういう活動が広がって行くと良いなと思います。本日はありがとうございました。

・副代表 小金澤孝子氏

今日は本当にありがとうございました。このたび賞をいただき、仲間達の励みになります。皆、身銭を切って運営しておりますので、仕事と活動の両立は大変で、このように表彰していただくと、これから先もがんばろうという気持ちになります。電話が増えたことを聞いて、DV問題がたくさん出てきて良いことではないとお感じになった方も多いと思います。今まではそういうことは人に言ってはいけない、人に相談してはいけないというところがあり、新聞など表面に出ませんでした。しかし、DV防止法などが出来て、暴力は良くないことだということがわかってきて、私達の運動が微力ながらあり、警察も動いてくれるようになり、件数が多くなり、表面化して来ました。子どもの虐待についても子どもは健気です。自分の親の悪いことは言いません。痣が出来ていても転んだと言います。本当に信頼している大人にしか言いません。その辺を回りの大人がどうやってわかって行くかも大切な運動のひとつだと思います。朗読劇など分かりやすい表現を借りて、皆様にそのことがどんな問題になるのかわかっていただけると思います。8月3日そういう場をいただけて 本当に感謝しています。