日 時:2009年7月17日(金) 12:10-13:30
場 所:法曹会館 2階 高砂
―第43回キワニス社会公益賞贈呈式―
授賞団体:えじそんくらぶ 理事長 高山恵子氏、井手籠栄理子氏
授賞式
○山口社会公益委員長より選考経過報告並びに受賞者紹介
今年度の社会公益委員会では東京都のボランティアセンター、東京都福祉保健局並びに当クラブ会員のご推薦による20の候補の中から、今回は子どもに対する応援活動をターゲットに絞り、選考を重ねました。最終的に絞った4候補のもとに高橋淳三副委員長と訪問し、実際の活動を見聞した状況を委員会に持ち帰り検討し、最終的にNPO法人えじそんくらぶに決定し、役員会で承認されました。
えじそんくらぶ理事長の高山恵子さんは1959年東京都出身、昭和大学薬学部を卒業後、10年間英国塾を経営し、1995年教育学を勉強のためアメリカのトリニティ大学の大学院に留学、帰国後、臨床心理士として養護施設、保健所、養護学校などで本格的に活動を開始しました。その活動の中で1998年にADHD、徐々に社会問題になっている注意欠損、多動性障害を持つ子どもの母親との教育相談を行ったことをきっかけにADHDを持つ人たちとその家族、教師、専門家への支援と連携を強化することの必要性を痛感され、本格的活動を始めました。同じ昭和大学の卒業生の仲間と一緒に2002年1月にNPO法人を立ち上げました。豊かな個性の一つとして長所を伸ばし、弱点を克服できるように支援していくことをターゲットとしました。全国的に展開され、1400名が会員としてこの活動をサポートしています。
○川﨑会長より表彰状並びに副賞贈呈
○高山恵子理事長より受賞のことば(パワーポイントを使って説明、資料配布)
本日は大変貴重な賞を頂戴いたしまして、心より感謝いたします。ありがとうございました。ADHDという障害はなかなかわかりにくく、まだ多くの方に知られていない状況です。10年間地道に活動してきて、このような賞をいただいたことは初めてです。全国で頑張っている会員の励みになります。
えじそんくらぶという名前は、実はエジソンにもADHDという障害があったのではないかと言われています。とても破天荒で小学校では好奇心が強く授業中は質問ばかりしていたということで中退したそうです。集団行動が難しいが、ひらめきが多く、才能もあるが、良いサポーターに出会えれば、才能として開花します。5%くらいいると言われていますが、なかなかわかりません。
坂本竜馬、ヘミングウェイ、ロックフェラー、トットちゃん、モーツァルトもADHDがあったのではないかと言われています。特徴として集中できない、多動、雄弁の3つがコントロールできないことで、集団活動ができないなどが挙げられます。えじそんくらぶのモットーとしてプラスの視点を大切にしています。集中できないということは、ひらめきと創造力があるということです。ルールを守れないということは、前例のないことにクリエイティブなことができるということです。創造力を必要とする職場に多いと言われています。衝動性も良いことに使えば、実行力、行動力ということなので、ベンチャー企業や社長に多いと言われています。以前は障害と言われていませんでしたが、最近そういう子ども達が苦労しているからサポートしなければいけないと言われるようになりました。
アメリカでは30年ほど前からこういう子ども達の支援を行なっています。日本では法律が整っていなかったのですが、ここ3,4年で状況がぐっと好転しました。議員立法で発達障害者支援法を通していただきました。アンバランスがあっても良い方とめぐり合えて、ダメだと言わずに良いところを見つければ、十分プラスに活躍できる人達です。誤解から生まれるトラブルとしては、うっかり忘れることが多く、約束を守れない、集中力がないので、人の話を聞かない、わがまま、大切なものをなくすので、責任感不足と言われたり、だらしがなかったりして、非常識、横柄、無礼と言われたりします。そういうことが生まれつきできない子が最近5%はいることがわかりました。
「育児ストレスを減らす3つのヒント」という冊子をジョンソン・エンド・ジョンソンから助成金をいただいてつくりました。こういうものを提供することにより、ストレスを減らし、子育てを楽にしましょうと提案しています。親はお金を出して講演を聞きにくることはなかなかできないので、大切なことは無料で提供することだと思います。こういう講座を無料で提供するためには、工夫が必要です。サポーターが増えれば十分活躍できる人達です。ADHDの人でも大学教授、弁護士、研究者の方もいらっしゃいます。幅広くいろいろな情報をお伝えして、多くの方に知っていただきたいと思い活動してきました。今後も無料提供したいと思っていますので、皆様方のご支援はとても嬉しいです。さらに冊子を多くの方に配布することができ、講座を提供することにより、救われる方が広がっていくと思います。
理解者・支援者を増やすために、いろいろな活動をしています。親が変われば、子どもも変わりますから、親支援もしています。アンバランスのある子ども達ですが、アンバランスのまま育てるという発想があって良いと思います。得意なところで誰かを助け、苦手なところは助けてもらうという互いにサポートしあう地域つくりが、これをきっかけにできたら嬉しいなと思っています。本も書かせていただいていますし、支援者が広がり、今回いただいた賞の影響力は大きいものがあります。地道にやってきたことが認められて嬉しく思います。本日はありがとうございました。