日 時:2012年7月20日(金) 12:15-13:30
場 所:法曹会館 2階 高砂
-第46回キワニス社会公益賞贈呈式-
受賞団体:最優秀賞 NPO法人勉強レストランそうなんだ!!
優秀賞 NPO法人江戸しぐさ、文化・芸術いきいきネットワーク
授賞式
○荒木社会公益委員長より選考経過報告並びに受賞者紹介
本日の贈呈式を迎えられましたのも、社会公益委員の皆様、小坂副委員長、竹嶋副委員長、毎回委員会に出席くださった堀井会長、緒方次期会長、また、役員の方々、会員の皆様のお蔭と感謝しております。選考経過報告をさせていただきます。10月18日に第1回目の委員会を開催、今年度の方針、スケジュール、候補の選定方法の確認、決定をいたしました。それを受け10月27日に会員の皆様に今年度の社会公益賞の推薦の依頼をいたしました。また、例年通り東京都福祉保健局、東京ボランティア市民活動センターに推薦の依頼をいたしました。12月20日に第2回委員会を開催、応募状況の確認、会員から2件、東京都福祉保健局から2件、東京ボランティア市民活動センターから4件の推薦がありました。また、前年度からの申し送り1件を含め計9件の推薦がありました。
今回の選出にあたり、キワニスのモットーである子ども達のための活動を優先しよう、児童虐待防止の団体があれば、今回も継承したい、活動実績が5年以上ある団体を対象としたい、ただ、最低でも3年以上はしっかりと活動していることが条件、なるべく世間に知られずに献身的に活動を続けている団体がよいのではないかということを確認しました。3月6日の第3回委員会で候補の絞り込みをいたしました。その結果、3月17日に文化・芸術いきいきネットワーク、3月27日にNPO法人勉強レストランそうなんだ!!、4月4日にNPO法人江戸しぐさを社会公益委員と一緒に訪問させていただきました。4月20日の第4回委員会で訪問の結果を報告し、どの団体も素晴らしい活動をされているので、受賞から外すことはできないという結論になりました。毎年社会公益賞は1団体を表彰してきましたが、一つに限らず、複数の団体を表彰するのも良いのではないか、キワニスの会員から推薦していただくことは非常に重要なことなので、尊重しましょうという理由から3つの団体を表彰することが委員会で決まりました。それを受けて5月8日開催の第六回役員会で承認されました。
それぞれ素晴らしい活動をされています。のちほど皆様から短い時間ですが、活動についてお話いただきたいと思います。また、お手元に受賞団体についての簡単なご紹介をお配りさせていただきました。
今日は短い時間ですが、次期事業企画委員長には卓話としてじっくりとお話を伺えるようお願いいたします。
○堀井会長挨拶
今年も素晴らしい団体を表彰することができ、うれしく思っております。選考してくださった社会公益委員の皆様に御礼申しあげます。私も委員会に参加させていただきましたが、訪問された団体に対して委員の皆様は思い入れが強く、今回、3団体を表彰させていただくことになりました。東京キワニスクラブは子どもの幸せのためにいろいろなことをやっております。ドールの活動は続けており、児童虐待のことも関心を持っていきたいと思います。日本の社会の中にある課題に対してどのように取り組んでいけばよいのか、私ども自身が手を動かし汗をかくことも大事ですが、世の中で一つ一つの課題に対して行動を起こし実践しておられる、行動を起こすことは大事だと最近思うようになりましたが、そのような方々にささやかではありますが、支援をさせていただければ、大変な喜びです。皆様方の日頃の活動に敬意を表すると同時に私どもの気持ちが皆様方の活動の中に反映され、皆様方が支援されている方々の気持ちにつながれてば良いなと思っております。本日はおめでとうございます。
○会長から表彰状と副賞贈呈
○受賞のことば
1)NPO法人勉強レストランそうなんだ!! 理事長 福喜多明子様
本日は伝統ある、栄誉ある賞をいただきまして、本当にありがとうございます。お礼の気持ちをお伝えするとともに、当法人の活動の内容を少しご説明させていただきたいと思います。
勉強レストランそうなんだ!!の目的は2つあります。①主に知的な障害のある方々を対象に生涯学習の場を提供すること、②障害の有無にかかわりなく地域で人々が活動する場を提供すること。この2つの目的に向かって活動を始めて7年目に入ります。具体的な活動の主な柱は3つ、①学習支援、②自立支援講座の実施、③成果発表会「そうなんだ祭」、ほかにも王子第二特別支援学校でのパソコン講座の実施、夏休み中のやさしいパソコン講座の実施、そうなんだ発見教室の実施等々を行っています。この活動を始めたルーツをお話したいと思います。私の次女が小学4年生のときに通常学級から当時の心身障害児学級に移ることになりました。当時公立中学の社会科の教諭をしておりました私は思いがけなく障害児教育に保護者として向かわざるを得なくなりました。その後、私自身も公立中学の身障学級の担任になり、保護者であり、担任という両方の立場から障害児教育のカリキュラムに向かわざるを得なくなりました。その中でいろいろことを考えました。次女が中学校の身障学級に入ったときカリキュラムの中に社会科がありませんでした。とりあえず文字が読めたり、話ができる人達が成人すれば選挙権を持ち、犯罪に巻き込まれることも多い方たちが社会科という分野を学ぶ機会がないということはどういうことなのかと思い、次女とその友人を集めて自宅で心身障害児学級における社会科をつくって行こうと勉強会を始めたのがこの活動のルーツです。2005年にNPO法人化をいたしました。
勉強レストランそうなんだ!!のコンセプトは①知的障害者(児)のための学びの“場”、②知的障害がなくても学びの“場”、③自立のための生涯学習の“場”、④学びを通じたノーマライゼーションの“場”。活動内容はいろいろありますが、学習支援、個別指導、様々な指導方法、教材などをうまく組み合わせて成果を生んで参りました。グループ学習は現在2グループ実施しています。法人のルーツになりましたおいしい社会科とくらしの算数のグループ学習を行っています。おいしい社会科は現在就労している20代の若者が5、6人、月に1回時事問題をやさしく学習して、最後にそのテーマに因んだメニューを皆で食べるという内容です。自立支援講座は当法人の大きな活動の柱になっています。これまでで通算31回実施しました。知的な障害を持つご本人、その周囲の方たちを対象としたものです。内容はみだしなみ、性と人間関係、社会の中でのマナー、自分の仕事について語る会、悪質商法撃退、ヘルシークッキング等々。成果発表会「そうなんだ祭」は年1回開催しています。歌、楽器演奏や、自分で調べたことを発表したり、個性豊かな発表をみることができます。王子第二特別支援学校でパソコン指導を5年ほど行っています。知的障害があるとパソコンなんてできっこないと決め込む方が多く、知的障害がある方がパソコンに接することが難しい。しかし、パソコンができる生徒はたくさんいます。富士通マイクロソリューションズが社員の社会貢献の観点から全面協力いただき、パソコン講座を夏休みに開催しています。昨年から始めました「夏の発見教室」は当法人の参加者の兄弟で大学生が中心となり、企画、運営しています。大学生が宿題のお手伝いをしたり、大学生が発見授業を実施したりします。
法人の活動内容を急ぎ足で紹介させいただきましたが、本日はありがとうございます。これかも末永いご支援をお願い申しあげます。当法人の財政状況は決して楽ではなく、無休で働く事務局はたびたび折れそうになります。本日の受賞でスタッフ一同元気づくと思います。ありがとうございました。
2)NPO法人江戸しぐさ 理事長 越川禮子様
江戸しぐさというと、「傘かしげ」「肩引き」「蟹歩き」、何年か前の都営地下鉄のポスターでブレイクダウンしました。本当は稚児しぐさで、子どもが最初に覚える社会のエチケットです。人の上に立つ人のしぐさ、惻隠の情から始まりました。それがいつの間にかそういうものがなくなり、ただ単に「傘かしげ」「肩引き」になっているのが残念です。子どもは感性が鋭いですから直ぐわかります。江戸しぐさは知ることではなく、することだと子どもが言います。江戸しぐさはグローバルスタンダードとして通じる江戸の感性です。決して知識ではありません。江戸の町衆のトップの人達の感性です。四書五経、儒教等々を町方に拡げるためにやさしく噛み砕いていますから、インテリの男性は馬鹿にしてたいしたことはないと思うようですが、深い深い哲学が入っています。先日は九州で葉隠れの研究者に会ってきました。葉隠れも人の上に立つ武士たちの平常のたしなみで、共通点が多く意を強くしました。子ども達は吸い取り紙で吸うように感性を江戸しぐさから受け止めていて、大変頼もしい。子どもは意味がわからなくても覚えてしまいます。本日は立派な賞をいただき、ありがとうございました。
3)文化・芸術いきいきネットワーク 代表 佐藤典子様
本日は素敵な賞をいただきまして、ありがとございます。それ程年数が経っていない団体ですが、今回の受賞は会員の励みです。私共は高齢者施設や高齢者に本物を届ける活動をしています。認知症やお体の悪い方々を対象にしています。財力もなく、何もなく、自分達の情熱、人間の尊厳、一人ひとりと向き合う毎日を提供できたら、自分の人生は本当に幸せだと思っていただけるのではないかと思いながら活動しています。今回の受賞はこの背中を押していただいたということで、ありがたく思っております。
子ども達の活動を支援されている皆様方に高齢者にも目を向けていただき、高齢期の人達が何の発言もせずに、毎日、施設や地域で孤独と向き合いながらくらしている姿が多くあります。そのことを自分のこととして向き合っていただける機会を後押ししていただきまして、本当に嬉しく思っております。
感動を届ける一つの活動として、国立音楽大学のオペラの演出家の中村研一先生の監修でオペラ「羊飼いと狼」を1時間の番組にパッケージ化し、昔懐かしい歌、日本の歌曲を織り交ぜながら1時間のオペラとして高齢者施設で上演する活動をしています。敬老の日に5,000円の音楽の謝礼を払うのがやっとという高齢者施設が多い。これは介護保険外の活動ですから。そこにプロの方をお招きするときは、私どもがお金の支援をして、高齢者施設は無料で楽しんでいただいています。趣味の活動を高齢者、認知症の方にもわかりやすく提供するために、サポートする側と指導する側がチームになり、毎日の活動を支援しています。余った布を張り合わせてつくった絵をご覧いただきます。認知症の方の作品ですが、素敵な絵ができあがりました。親が認知症になってかっがりしていた家族の方々も作品を見て励みになりました。高齢者の尊厳を満たし、いきいきした毎日を過ごすことができると思っています。山下洋輔さんのご理解をいただき、コンサートをして収益金を集めて活動の充実につなげています。アメリカの高齢者施設等様々な施設を見学して、日本の高齢者の生活を見る度にアクティビティが専門的に位置づけられていない社会であると思います。実践を通して高齢者の皆様に自分の人生は良かったと最後に言っていただけるような社会をつくっていきたいと思います。今の高齢期の問題は財力、人員、職員の問題等様々な問題を抱えています。こうしたことに光を当てて下さった今回の受賞を心から感謝を申しあげます。私共もこれを励みにしながら、一人ひとり施設や地域に、障害児の子ども達にも本物のアクティビティを提供していますが、文化・芸術が生きる力を与えることを柱にして参りたいと思います。今後ともご支援いただけましたら、ありがたく存じます。そして、日本の社会の高齢期がより良いものになることを願っています。子ども達にも光を当ててくださいますようお願い申しあげます。皆様の活動が今後もますます発展され、多くの人達が勇気をいただけますよう願っております。本日はありがとうございました。