キワニスクラブは、奉仕活動を行う民間の団体です。

第47回(平成25年度)社会公益賞:贈呈式

日 時:2013年7月19日(金) 12:30-13:30
場 所:法曹会館 2階 高砂

-第47回キワニス社会公益賞贈呈式-
受賞団体:NPO法人ぱお(押尾洋子理事長)、東村山音楽愛好家協会(倉田博継代表)、
NPO法人みんなのセンターおむすび(加藤勉理事長)

授賞式

授賞式

 

○中門社会公益委員長より選考経過報告並びに受賞者紹介

東京ボランティア市民活動センターから5団体、東京都福祉保健局から3団体、会員から4団体の推薦をいただきました。12団体について6回委員会を開催し、選考、審査を行いました。審査に当たりキワニスの目的である子どものための奉仕活動を重要視し、組織力、財政力の大きなところは極力対象から外し、活動実績が5年以上、最低でも3年以上しっかり活動していること、あまり世間に知られず、献身的な苦労を続けているような団体が望ましいという方針を決めました。子どもに対する支援活動を重視するが、それ以外の団体も対象に選考範囲を広くし、社会福祉一般にまで広げて継続して地道に活動している団体があれば表彰の対象とするということで審査を進めました。まず12団体を6団体に絞り二次審査をし、最終的に3団体にしました。この3団体について委員が分担し、実際の活動を調査を行い、その上で委員会で決定し、6月11日の理事会において承認をいただきました。3団体についてそれぞれの活動の要約をお配りしています。①NPO法人ぱおは障害を持つ子ども達に対する放課後のデイサービスなどを行っており、特に障害の程度、種類を問わずに受け入れ、障害児一人ひとりの状況に応じた対応をしているところが特徴です。②東村山音楽愛好家協会は東日本大震災等で親を亡くした子ども達に対する支援のための募金コンサートや自閉症児のためのコンサートを度々行っています。③NPO法人みんなのセンターおむすびは人生半ばで脳血管系の病気や事故で障害を持つに至った人を受け入れ、作業や活動を通じてリハビリや社会参加の支援をするデイサービス事業等を行っています。

受賞団体の代表の方々には心からお祝いを申しあげます。これまで推薦、審査にご協力いただきました皆様に厚く御礼申しあげます。

○会長より挨拶・表彰状贈呈

3団体の皆様、おめでとうございます。私共東京キワニスクラブは来年設立50年を迎えます。社会公益賞は47回を数え、50年の歴史の中で古くから力を入れている事業です。キワニスのモットーである「世界の子ども達のために」をメインに広く社会奉仕活動の精神で活動しておられる団体を、世にご紹介し、多少なりともお役に立っていただくということで表彰状と金一封を差し上げてきました。今回受賞された3団体について、中門委員長以下社会公益委員の皆様が熱心に現地調査、面接などをされ、優れた実績をお持ちの皆様方に表彰状を受けていただけることは私共も光栄に思っております。ますますそれぞれの分野で活躍され、ご発展されますようキワニスクラブとしても心からお祈りする次第です。

○受賞のことば

①NPO法人ぱお 押尾洋子理事長
本日は素敵な賞を頂戴し、またこのような席にお招きいただき、ありがとうございました。心から感謝をしております。22年前に小さなスイミングサークルを江戸川区で立ち上げたのがきっかけです。母親から放課後に何か出来ないかという要望に応える形で徐々に今の状態になっていきました。元々当時の行政ではやっていないが、親から必要としていることを探して、応えてやっていくうちに会が大きくなり、2006年に法人化しました。放課後活動のほかに、居宅介護、ヘルパーステーションは障害を持った子どもに特化したサービスを提供しています。子どもに詳しいヘルパーを育てて、家族を支援することをモットーとしています。江戸川区はインド人、韓国人が増え、国際化が進んでいます。子育て広場、居宅介護のステーションの代表はぱおの子どもの母親です。障害を持っている子どもの母親達はきめ細かく、忍耐強く子育てをしてこられた人達なので、そういう力を社会に還元したいと思いました。

主たる活動の放課後活動は、子どもを障害の種類によって受け入れを分けない、障害の程度によって受け入れを拒まない、放課後の遊びの中で発達を支援することを目標にやってきました。子どもの数だけ大人の数が必要です。必ずマンツーマンで大人がついています。活動の内容としては、外に出かけることをたくさん経験として積ませています。社会にたくさん出て、町が大きな教室となり、買い物、歩道の歩き方、バス、電車の乗り方などルールやマナーを守ることを放課後に楽しみながら練習できるのではないかと感じています。室内遊びでは、それぞれ子ども達が楽しい時間を過ごしています。時には買い物に行き、皆でおやつやお昼ごはんをつくったりすることもあります。始めた当初は江戸川区には私共のクラブしかありませんでしたが、最近は増えて、それだけ需要があるのだと感じています。国の制度として放課後等デイサービスという事業が立ち上がりました。私共は江戸川区独自の助成金を受けていましたが、江戸川区も財政難のため補助を打ち切ると言われて、この4月から放課後等デイサービス事業に変えました。この事業の中では子ども10人に対し大人は2~3人で良いという判断です。私達が大事にしている一人ひとりを援助するという活動ができません。20年近くやってきた活動で、細かく子どもを見ていくと、必ずどの子も発達するという実感を得ていますので、どうしても活動内容を変えたくありませんでした。私は代表者として一番の悩みは財政難です。やる気があり、熱意あふれるスタッフが大勢いて、辞めずに働いてくれています。そのスタッフのモチベーションを維持し、より良いサービスを今後も提供できるように頑張って行きたいと思っています。
来週から子ども達は夏休みが始まります。毎日、毎日10人前後の子ども達が来て、同じ数の大人達も来て、プールに行ったり、宿泊も考えています。子ども達にとっては楽しく、私達にとっても楽しい夏休みにしたいと思っています。江戸川区は東京の隅っこですが、隅っこの小さな私達のような団体に光を当てていただき、ありがとうございます。働いている皆の誇りになり、今後も子ども達の支援に力が入ると思います。今後もご支援くださいますようお願い申しあげます。本日はありがとうございました。

②東村山音楽愛好家協会 倉田博継代表

本日はこのような名誉ある賞を受賞させていただき、ありがとうございました。東村山は一般には志村けんのみで知られていますが、隣は埼玉県所沢市です。自然には恵まれていて、住むには良いところです。私共の団体は約40年前にスタートしました。当時から東村山は東京のベッドタウンで住民はあまり活動に積極的に参加されない地域でした。東村山を音楽の町にしようと思い、仲間を集めて、コンサートを始めました。当時は卒業後7~8年でまだ仲間もいませんでした。市内に法政大学の弦楽のアンサンブルを組んでいる学生、児童合唱を指導している仲間達と結成し、小学校の体育館、音楽室、ハンセン病の施設の集会場、都立の医療センターの会議室を借りて、ほぼ定期的にコンサートを開催しています。なかなか知られることもなかったのですが、私共はそれで満足していました。18年前に阪神淡路大震災が起きました。私は関西出身で仲間の多くが関西におり、頑張っている様子を見て、募金コンサートを始めました。ところが3月に地下鉄サリン事件が起き、地震の被災地の復興状況が新聞1面に出なくなりましたが、募金コンサートは復興まで続けました。2011年に東日本大震災が起き、当初は計画停電があり、会場の電気が使えず、コンサートの申込ができませんでした。幼稚園に親を亡くした子どもがいることを知り、幼稚園と共催で募金コンサートの会場を借りることができました。私達も財政難の団体で、会場費が要らないということはとてもありがたいことでした。同時にバザーも開催したので、驚くような募金が集まりました。

夢をつなぐ音楽会は、自閉症やダウン症の子ども達が夏休みの間の8月中旬から下旬にかけて開催するコンサートです。今年の8月22日が第14回になります。一緒にやってくださっている自閉症やダウン症の子どもを持つ父親、母親、家族が募金コンサートに手伝いに来てくれます。障害児も指導しているバレエ教室の方、器楽のメンバーが参加してくれます。以上2つが私達の大きな活動です。長く続けることはつらい学生時代の厳しいレッスンを乗り越えたことを考えると、大したことはありません。今回副賞をいただきましたので、若い演奏家に演奏の場を与えるという趣旨に賛同した方が出演してくださいますので、少しでもギャラらしく支払えたらと思っています。障害を持った子どもの親達は先のことを考えると、毎日不安だと思います。そういう気持ちを音楽で癒していただいていると思うと、やりがいのある仕事だと思っています。

チャップリンの映画「ライムライト」の中の「エターナリー」という曲を、手回しのオルゴールでアンコールに歌っていますので、今日も歌わせていただきます。

③NPO法人みんなのセンターおむすび 加藤勉理事長

第47回社会公益賞に選んでいただき、大変光栄に思っております。板橋で社会教育会館と共同で市民フォーラムをやっています。15年間かけて、漸く昨年末で100回を数えました。よくぞ100回やったと周囲から声をかけていただきますが、キワニスの2153回という数を知ったときに、どういう団体かと驚いた次第です。そういう歴史ある団体から素晴らしい賞をいただき、感慨深いものがあります。

私は18歳のときから障害を持つ人との関わりを持っております。介護保険事業の中のデイサービスに中途障害の人が通えるようになりましたが、デイサービスの中で、40代、50代の人が自己実現するのは難しい。障害を持っている人達と一緒に歩んできましたので、中途で障害を持たれた方に光を当てて、充実した日々を送って欲しいと思い、デイサービスを立ち上げました。今の医学では治療が困難な方々についても現在取り組んでいます。

障害者の人達が得た権利は一人ひとりに光を当てて、その人達の自己実現には市民権を得たと思っています。今後も財政難には立ち向かっていかなければなりませんが、一人ひとりに光を当てて、その課題を社会に訴えていく権利は運動の中で勝ち取ったと思います。それに比して、高齢者については下からの運動ではなく、上からおりてきた政策でその人の一生が決まってしまいます。一人ひとりの尊厳を考えたときに、高齢者の課題を地域に広げ、私自身65歳になりましたので、高齢者の一員として考えていきたいと思います。それが50年近く障害者と関わってきた人達から得た次の展開として、高齢者の尊厳を考えるということをお誓いして、お礼の言葉にかえさせていただきます。本日はありがとうございました。