キワニスクラブは、奉仕活動を行う民間の団体です。

第21回(平成17年度)青少年教育賞:贈呈式

日 時:2005年8月5日(金)12:30~13:30
会 場:経団連会館9階クリスタル・ルーム

―第21回東京キワニスクラブ青少年教育賞贈呈式―

受賞団体:明治学院大学ボランティアグループ「おもちゃびん」
代表 南ゆう子氏、寺尾かおり氏

授賞式

授賞式

授賞者

授賞者

○日下部青少年教育委員長より選考経過報告

今年も例年のように会員の皆様からのご推薦をまず優先してということで、推薦のご依頼を申しあげました。結果的に廣瀬会員から1件ご推薦いただきました。早速委員会で検討させていただきましたが、もう少し広く案件を発掘することになりました。そういう中で明治学院大学ボランティアセンター主催による新入生向けのオリエンテーションが開かれました。明治学院大学は学生のボランティア活動に熱心で、学生のボランンティアを支援する公式の組織を学校として設置しており、専門のスタッフも置いています。そのオリエンテーションで20を越すグループがプレゼンテーションするのを学生と一緒に聞きました。そこで初めておもちゃびんを知ることになりました。このおもちゃびんの活動は入院中の子ども達と一緒に遊ぶことによって、病気と不安な、心細い、寂しい状態の子供を慰め、励まし、病と闘う勇気をもってもらう、正にキワニスクラブのモットーとマッチすると感じました。委員会のご賛同を得て、活動している場である国立国際医療センターの小児科医長の松下先生のお話も伺いました。病院サイドとしてもこの活動は大変ありがたいと思っているが、学生なので卒業してメンバーが変わって行くので、どこまで続けてもらえるか心配だ、その点からキワニスにこういう形で支援していただけるとありがたいというお話でした。明治学院大学ボランティアセンターでのヒアリングも大変好意的なものでした。平行して吉江副会長と一緒におもちゃびん代表の南さんと今日ご出席の寺尾さんにお話を伺いました。お二人とも大変熱心に真面目に取り組んでいることがよくわかり、正に受賞に相応しいと自信を持つに至りました。委員会のご賛同を得て、6月28日の役員会で正式に決定していただきました。

活動の内容については後ほど南さんのお話に譲りますが、私からは2点だけご紹介したいと思います。第1点はこの活動は1991年に当時新宿区の福祉施設で入院児童の保育に携わっていた坂上和子さんが数名の社会人ボランティアと始められました。明治学院大学の学生は後から加わりましたので、現在は学生と社会人とのコラボレーションという形で運営されています。坂上さんが引き続いてアドバーザーのような形でサポート、指導をされています。第2点はおもちゃびんの「びん」は「便」で、おもちゃと一緒に楽しみ、喜び、慰め、勇気を一緒に運ぶという意味で付けられたと聞いています。

○青少年教育賞受賞者

南ゆう子氏より受賞のことば

このたびは私共おもちゃびんを青少年教育賞に選んでいただき、誠にありがとうございます。大変嬉しく思っています。今日はおもちゃびんの活動と活動していて感じたことをお話できればと思います。

おもちゃびんは国立国際医療センターの遊びのボランティアの学生部として昨年設立されました。おもちゃびんの紹介をする前に国立国際医療センター遊びのボランティアについての活動をお話したいと思います。国立国際医療センター遊びのボランティアは1991年に坂上さんが中心になり、毎週土曜日午前 90分、小児病棟に入院している子供達の遊び相手になる活動を行っています。小児病棟にあるプレイルームに出られる子供はボランティアや他の子供たちと遊びますが、プレイルームに出られない子供にはボランティアが個室まで行き、一対一でおもちゃを使って遊びます。プレイルームの棚には遊びのボランティア専用の棚があり、おもちゃが100種類以上あります。ボランティアは子供の年齢にあわせておもちゃを選びます。私は3年前にこの活動に初めて参加しました。坂上さんは元々明治学院大学の学生で、1年生のフレッシュスチューデントキャンプでたまたま知り合いになりました。私が初めてボランティアに行ったときのことはよく覚えています。最初は病気の子供に接して良いのだろうかと不安に思いながら小児病棟に行きました。檻のようなベッドの中で小さな子供が泣いていました。親は面会時間ではないのでいないし、看護師達は仕事があって忙しく子供の相手は出来ないという状態だったので、とてもショックを受けました。大人が側にいるものと思っていたので、外とは違う空間なのだと感じました。実際に子供たちと遊びましたが、病気の子供も普通の子供のように遊びを欲していることがわかりました。親と離れていたり、病気などへの不安、保育園や小学校に行っていないので、他の子供や人と接する機会が少なく、外との人との関わりが薄い子供だからこそ遊びは必要だと感じました。医療の専門家でもなく、外から普通の風を運ぶボランティアの存在はこの子供達に必要だと活動を通して感じました。

国立国際医療センター遊びのボランティアは社会人も活動に参加しやすいように土曜日に活動していますが、平日に比較的時間をとりやすい学生がネットワークをつくることにより、待合室で待っている兄弟の相手や長期に入院している子供の定期的訪問など活動の幅を広げています。その過程で設立したのがおもちゃびんです。活動を通して病気の子供が置かれている状況の深刻さを改めて知ったり、入院が子供本人だけではなくその家族にまで影響を及ぼすことを感じるようになりました。小学生の女の子の姉妹と遊んだことがあります。病気の子供に母親が面会していた朝の10時から夜の7時まで一人で待合室で待っていたそうです。その姉妹と待合室で一緒に遊んだり、外に散歩に行ったり、学習を見たりしました。最初は待合室でつまらなそうにしていましたが、遊び始めると顔を輝かせていました。その様子を見て姉妹も放って置かれて寂しい思いをしていたんだな、子供の入院は姉妹に影響を与えるのだと知りました。また、個別訪問をするようになって、今までより一人の子供に関わる時間が長くなりました。年末年始も治療のために外泊できずに話し相手を求めていた中学生の女の子がいたり、短期の入院を繰り返したために、学校の勉強についていけなくなったり、学校で友達ができない小学生がいたりして、今まで見え来なかった問題が見えるようになりました。また、家の用事を済ませることが出来た、息抜きができた、子供の笑顔を見ることが出来て嬉しいなど親から感謝をされることも多くなりました。たいそうな人助けをしたように感謝をされたので、びっくりしました。私達にとってはほんの1,2時間ですが、その短い時間が親に与える影響がここまで大きいのかと嬉しい反面、親の大変さがわかりました。

私はこのボランティアを始めて3年になりますが、子供達から生きるエネルギーをもらっているような気がします。治療の過程で眼が見えなくなった子供を定期的に訪問しています。遊んでいる子供達の集中力は凄いものがあります。状況が深刻な子供ほど真面目に精一杯生きようとしているのがヒシヒシと感じられ、私も励まされます。一人の力は小さいですが、仲間がいれば、出来ることも多くなります。私も活動を通して仲間や坂上さんのような人生の先輩にも出会えました。この出会いは私にとっても意味のあるものでした。今回のように社会から応援をされているということは、経験の少ない私達学生にとってはとても心強いし、自信にもなります。これからも私達のような未熟者を温かく見守っていただきたいと思います。本日は本当にありがとうございました。

寺尾かおり氏

本当に素晴らしい賞をいただいて、ありがとうございます。自分達がやっているだけではそれで終わってしまいますが、皆様に応援いただいていることが今後の活動の原動力になると思います。本日はありがとうございました。

受賞者のボランティアグループ「おもちゃびん」より「おもちゃびんだより」が届きました。
下記をクリックしてご覧下さい。

「おもちゃびんだより」第1号~第3号