キワニスクラブは、奉仕活動を行う民間の団体です。

第22回(平成18年度)青少年教育賞:贈呈式

日 時:2006年6月16日(金)12:30~13:30
会 場:経団連会館9階クリスタル・ルーム

―第22回東京キワニスクラブ青少年教育賞贈呈式―

受賞団体:立教大学「GIRLS’FRIENDLY SOCIETY」
代表 加藤南子さん、副代表 橋本愛香さん

授賞者

授賞者

 

○小宅青少年教育委員長より選考経過報告

今年の青少年教育賞は青少年教育委員会で審議の結果、役員会の承認を得て、立教大学のGIRLS’FRIENDLY SOCIETYに差し上げることになりました。

この学生ボランティアグループの存在を私が知ったのは、昨年、ヒアリングのため立教大学の学生ボランティアセンターを訪れた際でした。早速、当時の代表の人に会って話を聞いたところ、たいへん強い印象を受けました。

そこで委員会に諮り、吉江副会長と相馬委員との三人で立教大学に赴き、重ねてヒアリングを行い、その結果を委員会で審議の上表彰を決定した次第です。

GFSの活動の内容については、今日、ここに代表の加藤南子さんと副代表の橋本愛香(いつか)さんをお迎えしておりますので、お話を伺うことにしますが、私としてとくに申し上げたいのは、学生ボランティア活動と言っても、個人個人の趣味実益を生かしたものから大きなNGOやNPO団体の傘下でそのプログラムに参加するものなど多種多様でありますが、この立教GFSというグループは小さいが、独立した存在であり、団員の強い結束力とメンバー一人一人の集中力をもって、自主的なボランティア活動を進めております。活動の対象は重度障害児施設、精神障害者ケアのためのホーム、元ハンセン病患者家族、知的障害児施設 老人ホームなど多岐にわたっており、かつ、年間を通じて活動しています。

私が実際に、GFSメンバーの活動に触れることが出来たのは重度障害者施設と精神障害者ホームを訪問した際ですが、そこで拝見した活動するGFSメンバーの顔つきと仕草には、高度の真剣さと自己を集中させて弱者の相手を支えんとの心構えにあふれていたのがとても印象的でした。およそボランティア活動の原点は他者との出会い、利他的奉仕、自己鍛錬といったところにあると言えますが、GFSの活動ぶりはまさにそれを体現していると感じました。

我々キワニアンとして、弱者とのふれ合いを通じて、自分を磨き、ささやかなりとも社会貢献をしている立教GFSの皆さんに心から敬意を表すると共に、今回青少年教育賞を差し上げることとした次第です。

○青少年教育賞受賞者
受賞のことば(代表 加藤南子さん、副代表 橋本愛香さん)

(活動写真を回覧)

このたびは素晴らしい賞をいただき、ありがとうございます。これからの活動への励みになっただけではなく、自分達の活動を振り返るための良い機会にもなり、大変嬉しく思っています。今日はメンバーを代表してGFSと現在の活動の様子、活動の中で感じたことをお話しさせていただきたいと思います。

GFSとは”Girls’ Friendly Society”の略で、キリスト教の宗派のひとつである聖公会に属する世界的な女性の団体で、産業革命の時代にイギリスで創設されました。「互いに重荷を負い合いなさい」の標語をもとに活動しています。現在では30カ国以上の国に広まっています。立教大学GFSは1955年に設立され、大学における独自な存在として聖公会GFSとは活動内容が異なっておりますが、聖公会諸関係の施設とのつながりやキリスト教に基づいた活動の精神は受け継がれています。

立教大学GFSでは1年間を通して5つの施設へ訪問しています。①清瀬にある元ハンセン病療養所の多摩全生園、②町田にある重度心身障害者施設の一二三学園、③品川区にある精神障害者が集まる家EVAH(エヴァ)、④長野県にある知的障害者授産施設の山の子学園、⑤群馬県榛名町にある老人ホームの新生会です。相手によってコミュニケーション方法は様々ですが、私達のすることは基本的にはどこへ行っても同じです。相手のために何かをしてあげる、手伝うということではなく、人との出会いを大切にして時間と気持ちを共有することが私達GFSの活動の内容です。立教大学GFSには趣意書があります。一つ一つの出会いを大切にしよう。小さなことでも感じ取れるアンテナを立てよう。活動の中で得たもの、感じたものを分かち合おう。常に感謝の気持ちを持とう。

サークルに入って最初の頃はボランティアは何か労働のようなイメージがある人もいて、物足りなさや落ち着かない気持ちもありましたが、時間が経つにつれて、一緒に過ごすことの大切さ、難しさを感じられるようになりました。現在GFSのメンバーは約20名、そのため全員で分かち合える時間をつくることは難しい状態です。しかし、毎年春と夏の合宿では毎晩各人のその日の振り返りに全員が耳を傾け、 気持ちを分かち合うためのミーティングをしています。合宿では多くの時間を与えられる分、施設利用者 との関わりを通して普段は見えてこない自分の姿に気づかされることも多くあります。

長野県にある知的障害者授産施設の山の子学園には毎年約1週間、夏合宿として訪問しています。施設利用者は授産施設に住み、近くの畑で農作物をつくったり、焼き物やパンをつくっています。夏合宿のときは利用者の方と一日中遊んで過ごしています。生活の場にお邪魔しているので、日常の様子や問題点が見えることがあります。利用者の方々はストレートに自分の気持ちを伝えてくるので、それにどう応えていくか、向き合って行くか真剣に考える中で、普段の人との接し方についても考えさせられます。初めて山の子学園を訪問したときに、園長先生がここに来ると自分に嘘をつくことができないと言われました。日常の生活の中では時間に追われていたり、相手との関係を考えたりして、なんとなく適当にうまくやり過ごしてしまったことが、非日常の合宿の中ではとても良く見えて来ます。出会いを大切にすること、気持ちを分かち合うこと、小さなことでも感じ取れるようアンテナを立てること、常に感謝をすること、私達が活動の目標にしていることはどれも普段の私達の生活の中でも実践出来ることばかりです。活動の中で気づいたこと、感じたことを大切にして、日常の生活の中でもこの目標を実践すること出来たら、人との関わりは素敵なものになると思います。各メンバーがGFSとして活動出来る時間は限られていますが、活動の中で出会う多くの人と過ごしたり、正面から向き合える時間を大切にして、次の代へ引き継いで行きたいと思っています。学生時代に人との関わりの大切さを改めて考える時間を与えられたこと、一緒に考える仲間がいること、大学の先生方、キワニスクラブの皆様のように応援して下さる人々に恵まれたことに感謝しています。本日は本当にありがとうございました。


―特別賞贈呈式―

受賞団体:田園調布学園中等部高等部
田園調布学園 西村昭理事長、間瀬より子教諭

授賞者

授賞者

 

○小宅青少年教育委員長より選考経過報告

今年は青少年教育賞とは別に特別賞を贈ることになりました。受賞団体は田園調布学園の中等部高等部です。同学園は建学以来、社会奉仕という視点を教育方針の中で重視し、中等部高等部生徒への教育の中で生かして来られました。今でこそ多くの大学でボランティア活動が行われておりますが、高校中学の段階でその意義を教えて生徒をその方向に指導するような教育を行っている所は決して多くはありません。このことを田園調布学園は永年にわたり実銭して来られました。詳細は今日おいでいただきました学園の西村理事長と家庭科教諭の間瀬先生から伺うことになりますが、私として強調したいのは、未成年の生徒に対し、ボランティア活動に参加するよう指導することによって、その生徒たちの人格形成に貢献し、やがて大学生となり成人としてボランティア活動をする際の貴重な土台が出来上がっていることです。そういう意味で田園調布学園は大きな社会貢献をしておられます。

こうした学園の教育と指導は、学園の家庭科教諭の間瀬先生抜きには語れません。私は学園を推薦された中田ガバナーと共に、間瀬先生の案内で学園の生徒が訪問している多くの社会福祉施設を見学することが出来ました。未成年の生徒のことですからボランティアとしての活動内容は、先程、表彰した立教大学学生のレベルには達しないかもしれませんが、それはそれとして、学校当局と生徒がこれ程までの努力を積み重ねていることを何らかの形で表彰することとすべきではないかと考え、青少年教育委員会で審議した結果、今回、特別賞を学園に差し上げることとした次第です。未成年の生徒にボランティア活動の意味、重要性を与え、その方向への道を切り開くことを永年にわたり行ってこられた学園と学園スタッフに対し心からなる敬意を表します。

最後になりましたが、田園調布学園中等部高等部はその家庭科授業の一環として、キワニスドールの作成に協力いただいております。この機会を借りて改めて御礼申しあげると共に、こうした協力関係が今後も継続され発展させることを私としては心から期待しております。

○青少年教育特別賞受賞者 

受賞のことば(田園調布学園 西村昭理事長、間瀬より子教諭)
(活動写真を回覧)

素晴らしい賞をいただき、ありがとうございました。学園の紹介をした後、詳しい内容は間瀬からさせていただきたいと思います。本学園は大正15年に創立され、80年が経過しました。創立者の西村庄平は長いこと日本郵船で外国航路の船長をして欧米、豪州などに行き、今後の日本の発展は教育に負うところが大きい、特に日本の場合、女子教育が遅れていると、退職金を投げ打って本学園を創立しました。建学の精神は「捨我精進」です。自分にある程度余裕を持って初めて相手を思いやる心が出て来るのだろうと思います。相手をただ思いやるだけでなく、自分のわがままを捨てるだけではなく、自分は自分で懸命に努力精進をして自己を高めながら、その中で相手に常に心を思いやって接して行きなさいと生徒を指導しております。30年以上前から家庭部を中心にボランティア活動をやって来ました。特に6年くらい前から休みを少なくして今まで以上の年間の総授業時間を5日間でやるようにして、いろいろなものを身につけて欲しいという考えから土曜日プログラムを設定しました。国際交流として中国語やハングル語、芸術文化として英国風のフラワーアレンジメント、日本文化として和太鼓、三味線、総合的な文化、ボランティアなどの100以上のプログラムがあります。環境についても力を入れ、昨年にはISO14001を取得して、環境に優しい学校として生徒の意識を高めて行こうと努力しています。このような素晴らしい賞をいただきましたので、新たなボランティア教育について深く考えながら生徒にその意識を高めて行くよう努力をして参りたいと存じます。

昨年の6月にキワニスドールづくりに講師として15名の方がいらしてくださいました。そのときいただきましたドールピンを着けて参りました。また、先ほどご紹介があったように6月24日にドールづくりがあります。生徒42名が希望しておりますので、多くの方にいらしていただき、ご指導をお願いいたします。

私が構内での作業ボランティアに何か新しいものはないかと思っていたときに、読売新聞にキワニスドールをつくりませんかという記事が掲載され、電話をしてみたのがキワニスと知り合うきっかけでした。ドールづくりがキワニスクラブのホームページで紹介されたり、その様子を「調布学園だより」にも掲載させていただきました。

地味で目立たない、草の根のようなボランティア活動に光を当てていただけるとは思いもよらぬことで感謝をしています。生徒会が主体になり多摩川の河川敷の清掃、ユニセフ募金をしたりしています。建学の精神「捨我精進」の実践として、朝、学園の周辺の公道を掃除しています。今日、表彰していただいたものは、生徒の自主性で行われているもので、決して強制ではありません。私は家庭部の顧問をしています。核になるメンバーは家庭部のメンバーですが、一緒にやりたいという生徒も受け入れています。本格的に活動をし始めたのが20年前です。一番古いものが緑ヶ丘保育園にボランティアに行くことです。高校生のときにボランティアを始めてその後保育系の大学に進学、幼稚園の教諭をしている卒業生がいます。勤務先の幼稚園の夏休みに緑ヶ丘幼稚園に今でもボランティアで来ている卒業生が二人います。一人は24歳、もう一人は35歳です。いろいろな施設との交流がありますが、回覧している資料をご覧ください。学校の外に出たイベントのイメージが判ると思いますが、一例を挙げさせていただきます。リバティは学園から10分のところにある精神障害者の通いの施設です。こういうところとの交流は学校によっては二の足を踏むところもあるようで、近隣で女子校で交流しているのは私共のところだけです。アクリルたわし、ビーズのアクセサリーなどつくっています。行きたい子だけを連れて行きます。放課後、精神障害者と会話をしながら一緒につくったりしています。高校生になると、夏休みにリバティにボランティアに行きたいと言って来る子もいます。大学生になっても続けている子もいます。外まで行くのは苦手という生徒には下級生の指導をしてもらっています。そのことにより自信がついて来ました。外でやるボランティアと違い褒めてもらうチャンスが少なく、目立たない、真面目にボランティアに取り組んでいる生徒にとって、今回の特別賞は大変な励みで、素晴らしいご褒美になるとありがたく思っています。続けていくことが大事であると生徒達に教えられると思い、嬉しく思います。

パイ焼き窯は心の病を持つ人達の経営するケーキ屋さんで普段は高校生のボランティアだけを受け入れています。イベントのときだけ中学生も参加できます。5月20日に10人の中学生(うち5人は中学1年生)が参加しました。最初は心配していましたが、和気藹々やっていました。その中の一人の中学1年生の感想を紹介したいと思います。「私は春祭り、パイ焼き祭りで2階の子供向けゲームコーナーを担当しました。職員の方をはじめとするたくさんの大人のボランティアさんが何をすれば良いのかなどわかり易く教えてくださいました。皆さん優しく一日中笑って過ごすことが出来ました。こんなに私達が楽しく手伝うことが出来たのに、パイ焼き窯の人達はわざわざこのために来てくれてありがとうと感謝され、とても嬉しくなりました。また機会があったらパイ焼き祭りに参加したり、いろいろなボランティア活動に参加してみたいと思いました。」 本日は本当にどうもありがとうございました。