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2025.12.02

2025年(令和7年)9月期事業報告

2025年(令和7年)9月期事業報告
(2024年10月~2025年9月)

1. 当年度の概要 

当年度はこの10年間に着手した子ども関連事業を中心とした基盤固めとクラブ全体に亘る収支構造の改善に注力した。具体的には委員会を基本単位として収支管理を行うとともに委員長を中心とした事業運営を強化した。その結果、委員会の発意による改革が進み、事業収支は大幅に改善した。

 キワニスドールはテレビの情報ニュース番組「イット」に好意的に採り上げられて以降、企業や団体からの問い合わせが殺到、作る会の新規発足や講師の新規派遣が相次ぎ、制作、寄贈ともに活況を呈した。
寺子屋、子ども食堂、サンシャインイベントも地域や子どもたちに一段と浸透、年間行事として楽しみにしている子どもたちが増えて来た。
 奨学金事業は奨学金支給に止まらず、児童養護施設の子どもたちに会社見学などで社会と接触する機会を提供するなど学生、子どもたちの個性やニーズに応じたサポートの多様化と関係性の強化に取り組んだ。
顕彰事業については社会公益賞の実施を見合わせる一方、青少年教育賞について応募・選考対象を学生団体に限定せず、社会人で構成する団体の応募を認めるとともに「子どもの未来を拓くボランテイア活動賞」に改称した。
SLP活動も広尾学園高等学校において学生の発意によりキークラブの新設準備に着手、学生主導という新たな動きに即応した助力を開始した。

 資金調達も委員会主導に転換した。即ち、事業に要する資金は原則、当該委員会で調達を図り、不足分をメルシー基金や剰余金などの内部留保、会費収入などの一般資金で充当することとした。具体的には奨学金事業は従来よりプレッジ寄付金の範囲内で自己完結的に資金調達を行っているほか、キワニスドール事業においても材料費名目或いは講師派遣料として作成経費の回収を実現、子ども事業においても企業等の助成金による自己調達に努めた。サンシャインイベントは従来から参加者からの会費を以って運営費用に充てている。一方、顕彰事業金とSLPについては今後、資金調達に加え事業の在り方について方向性の整理が必要である。
例会など内部向け行事も事業別収支管理の対象であることは言を俟たない。イベント単位での収支管理を徹底したほか、例会は場所の変更(日本外国特派員協会)とともに会費を値上げし、更に5月にも再値上げを実施した。

事務局業務の合理化も進めた。火曜会への事務局員派遣を中止し、会費集金、会場への支払いなど事務局員が行っていた事務を会員が分担することによりコストの圧縮を図った。その他、皆勤賞副賞の簡素化等きめ細かなコスト圧縮に取り組んだ。

2. 今後の課題

事業収支の改善及び委員会中心のマネジメントの定着が主要課題と認識する。
更に事業運営安定化のため、会員増強に加え、固定費対策を強化する。

3. 事業別概要
⑴対外活動

【キワニスドール事業】(キワニスドール事業委員会)

  • テレビの情報ニュース番組「イット」に採り上げられて以降、企業や団体からの問い合わせが急増、作る会の新規発足や講師派遣ニーズが高まり、作成数が増加した。その結果、寄贈数と作成数が900体前後で均衡した。
  • 企業、学校等に出向く会員の数に制約があることから先方の参加者増加、開催時期の重複などに対応できず、開催申し出を引き受けられない事態があり得る状況になっている。企業の作る会について開催数の増加に加え、材料単価の値上げを行った結果、収支は相当程度改善、黒字体質を実現した。
  • 当年度は東京地区としてのドールフェスティバルの開催は見送った。

【子ども関連事業】(子ども事業委員会)

寺子屋、子ども食堂、子どもスマイルinサンシャインの主要三行事を着実に実施した。
寺子屋、子ども食堂に関しては共催団体のすぎなみ子どもサポートの杉並区からの補助金受給と合わせ、当クラブ独自にKJFの助成金のほか新たに企業等の助成金を申請し6件中3件が採択された。

① 子ども食堂
子ども食堂は昨年に続いて年 2 回、春休みと夏休み中に杉並区の東京立正中学・高校を会場に開催した。工作教室等を実施し、子どもたちの好評を得た。

②寺子屋
子どもに居場所と昼食を提供する「寺子屋」は杉並区の妙法寺で土曜日や夏休みに実施、近隣の小学生に定着している。
昨年度、試験的に行った千日紅の栽培を本年度から計画的に実施し地域との係わりも一層深めた。

③子どもスマイル in サンシャイン
例年通り東京・池袋のサンシャインシティで開催した 。NPO法人豊島 WAKUWAKU ネットワークの協力を得て、子どもたちに加え、保護者や地元ボランティアが多数参加、サンシャインシティの協力で水族館の特別鑑賞を楽しんだ後、シナリオセンターの協力でシナリオ作りを体験、子どもたちに春休みの楽しい思い出を提供した。

【キワニス奨学金】(奨学金事業委員会)

当年度の奨学生は在学生5名、新入生1名計6名。しかし、そのうち休学ないし退学により1名が支給中断、2名が中止となった。これに対応して施設との連絡を密にし、適切な解決に導くとともに、新たに1名の学生に対し短期間の奨学金を支給、年度末では奨学生5名で事業を進めた。

特に、奨学金で接点のある児童養護施設を対象に職場見学や現場で働く方々との交流の機会を設け、奨学金に止まらない多様な関係性の強化に取り組んだ。

【子どもの未来を拓くボランテイア活動賞顕彰事業】(青少年教育社会公益委員会)

社会公益賞は当クラブにとっても伝統ある顕彰事業だが、当方の体制、財政事情、先方のニーズの変化等を考慮し当年度から実施を見合わせることとした。その上で今年度にから青少年教育賞について応募・選考対象を学生団体に限定せず、社会人で構成する団体の応募を認めるとともに「子どもの未来を拓くボランテイア活動賞」に改称、顕彰としての幅を広げた。
今年度は気仙沼市面瀬地区の小学生を対象とした居場所支援活動を実施している「面瀬学習支援(中央大学)」を受賞対象とし、地域や企業を巻き込みながらSDGs関連プロジェクトを実施している「国本小学校」は特別賞(副賞なし)として表彰した。

【SLP事業】(青少年教育社会公益委員会)

SLPの設立及び支援は青少年育成、サポートの観点からキワニスとして重要な課題と認識するも、日米の風土差、設立費用に加え国際会費など一定の維持費用がスポンサークラブ負担となる等の課題がある。今年度は広尾学園高等学校において学生主導でキークラブの新設準備に着手する動きがあり、当クラブとしても設立に向けた支援をしている。

⑵内部向け活動

【例会】(事業企画委員会)

2025年1月に続き5月にも例会費値上げを実施した結果、収支は改善を見た。
地の利がいい外国特派員協会への会場変更及び参加人員の増強策として多様で魅力ある卓話講師の確保に努めたほか、新入会員のスピーチ、会員による近況報告など会員相互の交流を深めた。

【国際相互理解活動事業】(国際担当理事)

国際懇話会は会員に人気の高いイベントであり、会員の興味を考慮してテーマや講師を選定している。
今年度は4回開催し、会場変更(外国特派員協会や日本記者クラブ)及び会費値上げを実施した。収支を考慮し会員以外を含む参加人員の確保に努めた。

【子どものことについて学び、語る会】(子どもサロン)

  • 当会は発足3年目に入り子どもの抱える諸課題について学ぶとともに、会員同士が自由に意見を述べ語り合える場として活発な議論を行った。
  • このため、2~3か月に1回程度、対面又はズームで会合を開催したほか、適宜メールでの情報交換、有識者の講話、施設等の訪問などを行った。

【文化活動・レクリエーション活動】(文化・レクリエーション委員会)

① チケットのあっせん販売・親睦旅行など
取り扱いチケットは歌舞伎、文楽、オペラ、第九演奏会、劇団四季、大相撲、宝塚、など多岐にわたる。
従来からの催しへの参加者は大相撲を除き減少傾向だが、手数料引き上げでカバー、収益は拡大した。
会員の親睦のため山形庄内地方へ泊りがけ旅行を実施、多数の会員が参加した。
また60周年を記念し、秋に60年前にヒットしたファークソングのチャリティコンサートを開催し、寄付収入につなげた。

② 囲碁愛好会など会員の自主活動
会員数が減少した同好会については会員数増加に努めた。

【親睦活動】(事業企画委員会、文化・レクリエーション委員会)

①火曜
当年度から事務局員の派遣を中止し、会員による自主運営に切り替え、軌道に乗った。

②新年互礼会・ファミリーデーなど
前年は60周年式典があったためファミリーデーを実施しなかったが、当年は再開しマンネリ化を回避するため著名落語家の招聘など会の魅力度を増すよう努力した。

例年通り実施したが、マンネリ化を回避するため著名落語家の招聘など会の魅力度を増すよう努力した。

③なぎさ会・ワイン会など
日本酒を楽しむ「なぎさ会」や、「ワインを楽しむ会」などは会員の自主的な企画として定着、会員相互の懇親の機会として会員以外にも広く参加を呼び掛けている。なぎさ会参加を契機に入会した事例もあり、新入会員獲得の機会としても活用した。

④チャリティーゴルフ会
キワニス会員にはゴルフ愛好者が多いことから、例年通り秋にチャリティーゴルフ大会を開催した。

⑷ 広報活動(広報委員会)
  • コスト対効果を考慮し、印刷媒体からデジタル媒体へのシフトを図った。
  • デジタル媒体としてはホームページやSNSを中心に幅広く情報を受発信した。
  • 印刷媒体についてはコスト対効果を勘案し部数を見直した。
4. 会員数の動向

(単位:人)

入会 退会 純増減 会員数 正会員 休会員
2025/9 7 19 -12 101 93 8
2024/9 11 15 -4 113 104 9
2023/9 7 14 -7 117 104

13

当年度は年間10人の入会を目標としたが、結果は年間7人の入会にとどまった。
亡くなられた会員3人に加え高齢・健康上の理由等から16人が退会されたため、退会・物故者は合計19人に達した。
この結果、休会員を含めた総会員数は12人減少の101人となった。
女性会員は入会、退会1人ずつで、合計人員は14人のまま変動はなかった。

5. 法人会員増強への取組み

会員増強の重要性は強まっており、2026年度における具体的対策として法人会員制度の刷新を決定した。すなわち、 当クラブはこれまで法人会員も個人会員も年会費は同じ金額だったが、財政再建の一環として法人会員制度を刷新し、法人会員の年会費を個人の倍の金額とする一方で代理人1名に代えて、登録者3名までを指名できるようにして、会社ぐるみでキワニス活動に参加できるよう、法人側のメリットも広げた。これを機に新たな法人会員獲得をめざす。

6. 財政状況

(単位:千円)

2024 2025予算 2025
会費収入 13,603 13,381 13,118
固定費 13,995 15,483 14,152
固定費収支 -393 -2,102 -1,034
事業収支 -1,114 -1,380 17

2025年9月期は、国際会費が1人52㌦から77㌦へ、25㌦の大幅値上げとなったほか、日本地区から1年限りの補助もなくなった。さらに社会情勢も考慮して事務局員の賃金を3%引き上げたため固定費負担は大きく増加した。
この結果、会費収入から固定費を差し引いた固定費収支は100万円を超える赤字となった。一方、事業収支のうち、例会収支は、年初から会場を外国特派員協会に変更、これに伴い例会会費を2段階で値上げしたが、赤字の解消には至っていない。しかしながら、子ども関連などの社会奉仕事業は委員会ごとに寄付や補助金獲得などの努力が実り、収支均衡を実現した。

7. 財政改善努力と年会費引き上げ

固定費削減については出来ることから取り組み、火曜会への事務局員の派遣中止や、皆勤表彰における図書カード進呈中止などに踏み切った。
しかし、過度な固定費削減は会員サービスの低下を招く恐れもある。このため、前年度からの課題であった年会費の引き上げについて、時間をかけて検討した。財務状況の説明会を2度実施し、丁寧に会員の理解を得る努力もしたうえで、従来12万円だった年会費を15万円に引き上げる案をまとめ、臨時総会で承認を得た。新入会員獲得のため入会金は据え置いた。
年会費を引き上げても、これによって会員の減少が加速しては固定費収支の改善につながらないことから、今後は会員数の維持・拡大や法人会員の獲得が課題となる。

8. 個別事業の活動状況(データ)
① 会員の社会貢献精神涵養事業

定例会 25 回開催 会員延 859 名 会員外延 44 名
火曜会 43 回開催 会員延 285 名
国際懇話会 4 回開催 会員延 95 名(内他クラブ会員延15名) 会員外延 3 名

② ボランティア推進事業

(継続事業)
(a)ドール製作と普及活動

ドールの製作 920 個
ドールの寄贈 874 個

ドールをつくる会実施

(学校) 会員延 33 名 会員外延 209 名
10/12 若草寮ふれあい祭り
10/26 都立荏原看護専門学校祭
10/26 田園調布学園家庭部
10/27 慈恵会医科大学医学部看護学科 学生祭
11/21 東京家政学院高校
12/13 明治薬科大学
3/22 横浜女学院中学高等学校
4/2 聖家族園
4/27 至誠学園ガーデンパーティ
6/29 田園調布学園土曜プログラム
7/14 国本学園高等学校
7/15 東京家政学院大学

自由学園リビングアカデミー 会員延 8 名 会員外延 143 名
(11 回開催 10/4,11/8、12/13,1/10、2/14,3/14,4/25,5/9,6/13,7/11,9/19)

(企業) 会員延 76 名 会員外延 343 名
10/7 日本ベーリンガーインゲルハイム
10/15 日本ベーリンガーインゲルハイム
10/22 JCB
10/29 エドワーズライフサイエンス
10/31 ネットアップ
11/7 ネットアップ

11/26 パルアルトネットワークス
1/27 オーシャンネットワークスエクスプレスジャパン
2/5 大和証券グループ
3/24 セガサミーホールディングス
3/26 セガサミーホールディングス
4/16 Ultragenyx
5/22 JCB
5/27 パルアルトネットワークス
5/29 サンゲツ
6/4 ストラクチャード・ファイナンス フィッチ・レーティングスジャパン
7/25 ASP Japan
9/24 ギャップジャパン

(会員) 会員延 45 名

ドールチェック・打ち合わせ
10/11,10/18,11/18,12/17,2/4,2/27、3/21,4/7,7/16,7/28,8/22

(b)靖国神社へのボランティア活動

靖國神社昇殿参拝と慰霊の泉見学 (2024.3.26) 会員 11 名

(c)子どもスマイルイベント in サンシャインシティ」の実施(2025.4.2) 会員 13 名 会員外 37 名

(d)子ども食堂を春休み・夏休みに開催 会員延 38 名 会員外延 440 名

キワニス日本財団(KJF)より 20 万円の資金助成を受けた。

(e)「寺子屋in妙法寺」を 20 回開催 会員延 104 名 会員外延 682 名

夏休みの寺子屋は 2 日間で 174 名参加した。

(f)キワニス奨学金(児童養護施設卒園者支援制度)

10 万円1名、40 万円1名、各 20 万円2名を支給。1回だけ10万1名、総支給額は年間 100 万円となった。

(g)60周年記念チャリティコンサート(2024.11.16) 会員15名 他クラブ5名 会員外30名

③社会公益事業

第 1 回子どもの未来を拓くボランティア活動賞の贈呈(2024.11.1)
活動賞 面瀬学習支援、 特別賞 国本小学校

④委員会活動支援事業

(a)福利・厚生・レクリエーション活動

新春歌舞伎 会員 12 名 会員外 25 名 他クラブ 8 名
文楽 3 回 会員延 3 名 会員外延 18 名
第九 1 回 会員 6 名 会員外 6 名
大相撲観戦 3 回 会員延 18 名 会員外延 38 名
宝塚 8 回 会員延 8 名 会員外 72 名
秋季ゴルフ会 会員 10 名 会員外 6 名
秋のキワニス旅 会員 19 名 会員外 10 名
ホリプロ 1 回 会員 3 名 会員外 1 名
囲碁愛好会 12 回 会員延 18 名
なぎさ会(日本酒を楽しむ会)9 回 会員延 121 名 会員外延 25 名 他クラブ 10 名
ワインを楽しむ会 3 回 会員延 54 名 会員外延 20 名

⑤その他

(a)広報・PR活動

東京キワニスクラブ活動レポート 2 回発行
リーフレット、三つ折り名刺リニューアル

(b)他クラブとの交流

和歌山クラブ創立 30 周年記念式典祝賀会(2024.10.22)会員 2 名
埼玉クラブ500回記念例会(2024.11.27)会員 4 名
札幌クラブ雪まつり例会(2025.2.4)会員2名

(7)国際キワニス・日本地区事業活動への参画

①国際大会への参画

ASPAC 高雄大会 (2025.3.14-3.16) 会員 10 名
國際ピッツバーグ大会 (2025.6.25-6.28) 会員 4 名
福島大会(2023.9.12.13)会員 15 名 会員外 4 名

②アニュアルギビングプログラム 98,250 円

③キワニス日本財団運営協力金 196,500 円

④公益目的事業資金寄付円 98,250 円

以上